湘南ミュージックラボ
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R025-01:Slow Ballad 遅いテンポほど難しい?!
3連符ノリのスローバラード
「テンポが早いと難しく、ゆっくりだと簡単」そんな風に考えたことはありませんか? 実は違います。本当はゆっくりの方がとてもむづかしいのです。なぜでしょうか? もちろん超高速のテンポでリズム的に追いついていけず、全然に弾けなかったという事はあるでしょう。ただそれはリズム的に乗れなかったのではなく、単純に早くて間に合わなかっただけと言えます。その点、非常にゆっくりなテンポの難しさは意味が違います。ポイントの「ずれ」は非常にハッキリとわかってしまいます。いるべき場所、鳴るべき場所が明快であればあるほど、そこをきちんと押さえられないと、とても目立ちます。それから、非常にゆっくりなテンポだと、待ちきれず、ちょっと先に鳴らしてしまう、という事がよくあります。ちょっと先ばしってしまう事を、「つっこんでる」「つっこんだ」などと良く言います。
ゆっくりなテンポほど難しい?!
『1』は、とても簡単な(簡単そうに見える)リズムを両手で弾きます。ポイントはしっかり拍の上に乗る事。3拍目4拍目の置き方、強さ、音の長さに集中して練習してみて下さい。特に3拍目4拍目の音価(音の長さ)は、ベターっと繋がっていないが、スタッカートでは無い、切れ目のシッカリある重たい4分音符として感じてみて下さい。
このレッスンでは、思いの外たくさんコードが出てきますが、怯まないで下さい。なるべく簡単になるように考えてみました。
まず、C∆7,9 ですが、「カニ型」を一番下の音符(E)から弾いています。まず、このコードのポジションを確認して弾いてみましょう。
その次のF∆7は、C∆7,9の手の形はそのまま、左に鍵盤一つずらしているだけです。まずはこの2つのコードを交互に練習して慣れましょう。
※ヒント 今回の左手の役割はベースなので、このレッスンでは左手はそのコードのルートを弾くようにしています。最初、難しいようであれば、左手はお休みして右手に集中して練習するのが良いでしょう。左手ベースでコードのルートを弾けるようになると、伴奏がだんだんできるようになっていきます。徐々になれるように練習するようにして下さい。
『2』の前半はウォーミングアップ。ただ、またコードが違うのが出来てました。さあ大変。。。と言いたいですが、種明かしをすると、右手の押さえ方は、実は『1』と全く同じです。もちろん左手ベースの音は違ってきますが。まったく同じ押さえ方でもベースが変わって、コードの積み方具合の違いで、抑える鍵盤がまったく同じになるようにしています。(詳しくはコードの解説をみて下さい。)
さて、『2』のリズム的ポイントは、後半のリズムの刻みの位置です。このレッッスンでは、テンポは非常に遅いですが、土台となるリズムは3連符になっています。1拍を伸ばしている間にも3連符の「タカタ・タカタ」という刻みが体に入ってくるように集中しましょう。後半の4拍目の裏の刻みは、3連符の3つの刻みの真ん中(2番目)の場所になっています。でもの音を良く聴いて、その位置をしっかり把握して練習しましょう。そして、最後の小節の強いアクセントの盛り上がりですが、3連符の1番目2番目を弾いて、3番目の場所が休符になっています。ガイドリズムのドラムやベースと共に、一緒にだんだんと盛り上げていく感じを味わって下さい。とても気持ちが良いと思います。
『3』からは、コードチェンジのハードルが上がっています。落ち着いて良くポジションを確認して下さい。同じ押さえ方が色々ありますが、オクターブ上に移動したています。
※ヒント いままでに出てきていないコードネームが出てきますが、ここでも、基本的に「カニ型」の場所違いになるように調整してあります。唯一偶数小節の4拍目のG7,9,13が、一本指がずれる形です。(この一本指をずらすだけで、美味しいIIm7>V7(ツーファイブ)になるパターンは、他のレッスンでも何度か出てきていますので、解説など確認してみてください。)
※ヒント 『3』の最初の音符に※印で注としていますが、これは、こういったゆっくりなバラードで良く行うリック(小技、常套句)で、「ターゲットにするコードの半音上を一瞬弾いて、そのまま、下にひきずり降ろす感じで滑らせて弾くべきコードに落ち着く」とという技です。最初は無くても大丈夫です。出来そうであれば、挑戦してみ下さい。ポイントは、1拍目のほんのちょっと前に先行して半音上の音符を叩き、そのまま1拍目を目指して弾くずり下ろすという感覚です。厳密には丁度、1拍目をまたいで、丁度の位置では無く落ちている感じかもしれません。きっちりリズムに乗るように集中して弾いてきた上で、このような「リック」ではあえて少しずらしてくる感じ、いわば「字余り」のようなテイストが意識的にリズムで出せるようになると、このような、非常にゆっくりとしたテンポの乗りを乗りこなしているという感覚が生まれ、イカした感じになるでしょう。
『3』の後半、最後の段は、盛り上がります。バッキングも全員で1拍目でブレイクしています。。(ブレイクとはバンド全員で、休む、止まることを言います。)このような仕掛けを「キメ」と呼ぶこともあります。(意識的にリズムを強調し、バンド全員でそのリズムのパターンに合わせる事を「キメ」と呼んでいます。こうしたブレイクをしっかり合わせる事でとても盛り上がります。バラバラでは迫力がでません。
最後は3連符のキメで3拍目の強いアクセントできっちり止めましょう。そのあとの白玉は、最後にコントラストをつけて、柔らかくぽろぽろ〜んと縦のタイミングをずらしてみて下さい。(全音符のことを”しろたま”と読んでいます。しらたまではありません。)デモ演奏では、下から上に向かってずらしています。コツは、あらかじめ抑えるコードの手の形を作っておいてから、下から順番に指を置いていくイメージです。左手の小指から徐々に上に向かってドミノ倒しのように指が上がっていくような感じです。
※ヒント このレッスンのようなゆっくりなテンポで、音を長く伸ばしている時には、「ぼーっと」していてはいけません。その広大な空間の中、神経を張り巡らせて心の中では細かい刻みが鳴っています。そのグルーブ感を心で味わうのが、とても気持ちの良い事なのです。そのように感じていれば、遅いテンポでも、出遅れたり早くですぎたりせず、きちんとリズムキープできはずですね。ただし、実は、それが集中力を必要として、とても難しいことでもあったりします。
コード解説
このレッスンでは、色々コードが出てきます。
C∆7,9 ルードのCを省いて、3の音から順に E G B Dと弾く「カニ型」です。
F∆7 :ここでは普通にルートから F A C E と弾く「カニ型」です。
この二つのコードは一度ポジションを掴めたら、そのままの手の形で全体を隣に移動したり、戻ったりとする事で 簡単に行ったり来たりしています。
その次の Em7 とDm7,9ですが、手の押さえ方は、C∆7,9 とF∆7とまったく同じです。 『1』と『2』の最初の動きはまったく同じという事です。
この先、G7,9,13 や G7,9,11,13などが出てきます。このコードの説明は他のレッスンで出てきていて、そこで解説しているので、確認して復習しましょう。
ちなみに、Dm7,9とG7,9,11,13の押さえ方は、同じです。
左手のベースはもちろん違いますが、そのような意味で、このレッスンで出てきた右手の押さえ方は 実はオクターブ違いを考えなければ、
1)C∆7,9 Em7 >同じ
2)F∆7 Dm7,9 G7,9,11,13 >同じ 1)を鍵盤一つ分左隣。
3)G7,9,13 (G7,9,13の指一本違い)
の3種類だけという事になります。
1)と 2)は、同じ「カニ型」で手の形は同じですから、3)以外は全部同じ手の形なんですね。
コードについては、別途「コードのコース」で、色々解説をしていくので、そちらも見て下さい。
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